ケアマネジャーとして働きだしたときに、とても重要なのが利用票と提供票。
でも、研修で教えてもらわなかったよ?という方も多いはず!私もその一人でした。
パソコンの利用票の画面をみても細かいし、意味が全くわからなくて苦戦しました。
ケアマネジャーにとって、利用票と提供票の作成は必須な業務です。利用票と提供票を正しく理解し、より効率的に業務を行うための知識を深めていきましょう。
利用票は利用者へ交付し提供票は提供事業所へ
利用票と提供票は、ケアプラン作成において不可欠な書類ですが、それぞれの役割が異なります。
- 利用票は、利用者の介護サービスの利用計画を示したもので、どのサービスをどの頻度で利用するかを明確にします。利用者の生活状況やニーズに基づいて、適切なサービスを選定することが求められます。また、利用者やその家族が安心して介護を受けられるよう、計画を詳細に記載することが重要です。→利用者に交付(次月の予定)
- 提供票は、実際にサービスを提供する事業者に向けて、利用者の計画を共有するための書類です。提供票を通じて事業者は、利用者がどのようなサービスをどの程度必要としているかを把握し、適切なケアを提供するための準備ができます。これにより、サービス提供者と利用者の間で情報のズレが生じにくくなります。→提供事業所に交付(次月の予定)
このように、利用票は利用者側の計画を示し、提供票は事業者側にその計画を共有する役割を持ちます。それぞれの役割を正確に理解し、適切に使い分けることが重要です。
利用票と提供票の作成ポイント
利用票と提供票の作成は、ケアマネージャーの日々の業務の中でも重要な部分です。以下に、作成時のポイントをまとめました。
- 利用者の希望を反映する:利用票には、利用者本人や家族の希望をしっかりと反映させることが大切です。利用者の希望が反映されたプランであれば、利用者自身の意欲や生活の質を高めることにつながります。利用者との信頼関係を築くためにも、面談を通じてニーズをしっかり把握しましょう。
- 提供事業者との連携:提供票を作成する際には、事業者とサービス内容の詳細を確認することが必要です。事業者とのコミュニケーションを密に行うことで、利用者にとって最適なプランが提供されます。
- 作成時間をかけすぎない:定期的ではない予定(来月の受診予定)など入力するのが大変ですが、利用票を作ったらモニタリング訪問訪問訪問!です。できる限り早く作成し訪問できるようにしたほうが良いでしょう。
利用票と提供票を活用することで得られるメリット
- 利用者にとってのメリット
- サービスの利用計画が明確になることで、安心して介護サービスを受けられます。利用者やその家族にとって、先の見通しが立つことは精神的な安心感をもたらします。
- 自身の希望が反映されたプランにより、生活の質が向上します。希望に基づいたサービスを受けることで、利用者はより主体的に生活を楽しむことができます。
- 定期的な見直しにより、常に最新のニーズに合ったサービスが提供されます。
- 事業者にとってのメリット
- 提供票に基づいて、サービスの提供内容やスケジュールが明確になるため、効率的なサービス提供が可能です。事前に計画が共有されることで、スタッフの配置やサービス提供の準備がスムーズに行えます。
- 利用者の状況を把握しやすくなり、適切なケアが実現しやすくなります。また、提供票を通じて、利用者の健康状態や生活状況を把握することで、より質の高いケアが提供できます。
- サービス提供におけるトラブルを未然に防ぐことができるため、事業者にとっても安心してサービスを提供することができます。
介護ソフトへの入力の仕方
介護ソフトへの入力を正確かつ効率的に行うことで、利用票と提供票の作成業務が大幅にスムーズになります。使用するツールとしては、例えば「ほのぼのNEXT」や「ワイズマン」などの介護ソフトウェアがあります。
これらのソフトは、直感的なインターフェースを備えており、効率的な入力作業が可能です。以下に介護ソフトへの入力手順とポイントを詳しく解説します。
- 情報の準備:まず、利用者の基本情報やニーズを把握し、事前に必要な情報を整理しておくことが大切です。面談や訪問を通じて得た情報を入力時に漏れがないように準備しておきましょう。
- 入力の手順:介護ソフトを立ち上げ、利用者の基本情報(介護保険被保険者証の番号、生年月日等)新規登録または既存データの更新を行います。利用票や提供票の入力画面で、利用者のサービス事業所、内容、サービス提供時間などを順次入力していきます。項目ごとに入力が求められるため、抜け漏れがないよう注意しましょう。利用票を入力することで提供票に反映されるので、別で提供票を入力するという作業はありません。
- チェックと修正:全ての情報を入力した後は、必ず内容をチェックし、誤りや不足がないか確認します。また、限度額を超えていないか確認します。入力ミスがあると、サービス提供に支障をきたす可能性があるため、慎重に確認を行います。ソフトによっては訪問介護の2時間ルールが適切でないときにその部分の色が変わったりしてお知らせするソフトもあります。ちなみに「ほのぼの」は紫色になって知らせてくれます。
- 複写の活用:一度利用票を入力して保存しておくことで、次回以降の作成が非常に効率的になります。例えば8月の予定を作成しておくと9月の利用票にそのデータ(曜日・時間・サービス内容)が反映できます。
- 訪問中の予定変更対応:利用者宅へモニタリング訪問を行った際に、利用者や家族から来月の予定について変更の依頼を受けることがあります。その場合は、帰社後にパソコンで速やかに介護ソフト内の情報を修正し、最新の内容に更新しましょう。これにより、提供事業者への情報伝達もスムーズになり、サービス提供におけるトラブルを未然に防ぐことが可能です。
介護ソフトへの入力を効率よく行うことで、利用票と提供票の作成時間を短縮し、業務の質を高めることができます。入力の際には、情報の正確性を保つことを心掛け、適切なケア提供に繋げましょう。
利用票と提供票の作成で注意すべきポイント
- 予定の正確性:利用票に記載する情報は、常に最新のものを使用することが重要です。例えば、次回の通院介助の日時、利用者の用事でデイサービスを休む日があるか。
私たちケアマネは提供をお願いする立場にありますので正確な情報を事業所に伝えましょう。 - 加算の正確性:介護ソフトのマスタに各事業所の加算が入力されていますが、人員や法改正で加算の変更があったりするので正確に利用票を作成することで実績入力の際に誤差がなくなります。
- コミュニケーションの重視:利用者や家族とのコミュニケーションを通じて、常に適切な情報を収集し、反映させることが必要です。利用者のニーズや要望は日々変わることがありますので、定期的に面談を行い、ニーズの変化を把握することが大切です。また、利用者の生活に関わる全ての人々と連携を取り、情報の共有を徹底することもポイントです。
- プライバシーの保護:利用票や提供票には個人情報が含まれるため、適切な管理が求められます。情報の取り扱いには細心の注意を払い、関係者以外には見せないようにすることが必要です。
- 提供時間が重ならないようにする:サービスを追加するときのサービス担当者会議で、他のサービスが重ならないように計画を立てます。しかし急遽訪問時間や曜日を変更する場合もありますので他のサービスの予定を確認してから事業所にお願いしましょう。
また、訪問介護は基本「2時間ルール」があります。例えば、10:00~11:00まで提供して、そのあと2時間あけて13:00以降でないと提供に入ることができません。
要注意は実績で通院介助の予定が延びて、次の提供と2時間空かなかった時です。予め、通院介助が延びてしまった時の対策をしておきましょう。
💡新規ケアプラン作成が劇的に効率的になる方法を紹介しています。興味がある方はこちら。
利用者へ交付する際の注意点
利用票には単位数と利用者本人の利用料金が別々に記載されています。限度額に入る加算と、限度額に入らない加算(処遇改善加算等)があります。
利用票の裏面の右下に利用者の支払う料金が記載されています。また、2割負担や3割負担になると限度額が同じでも利用料金は変わってきます。
デイサービスを利用している方であれば、利用料金のほかに昼食の料金がプラスされるので要注意です。しっかりと利用者さんへ説明ができるようにしましょう。
効率的に利用票と提供票を作成するために
- 定期的な見直し:利用者の状況は変化することがあるため、定期的に利用票と提供票を見直し、必要に応じて修正を加えましょう。特に健康状態や家族のサポート体制に変化があった場合には、速やかにプランを見直すことが求められます。これにより、利用者にとって最適なケアが継続的に提供されます。
- 事業者との連携強化:提供票は事業者との情報共有ツールでもあります。連携を強化することで、より質の高いケアを提供できます。例えば、定期的に事業者とのミーティングを実施し、サービスの提供状況や利用者の反応について意見交換を行うと良いでしょう。これにより、サービス内容を柔軟に改善していくことが可能になります。